参照に関連した出題：１問目（SJC-P対策無料問題集）

参照に関連した出題：１問目

以下のようなコードがあります（開始から終了までの部分）。


//開始
class Test{
   public static void main( String argv[ ] ){
      Card c1 = new Card();
      Card c2 = new Card();
      Card c3 = c1;
      c1.deposit = 1000;
      c2.deposit = 2000;
      c3.deposit = 3000;
      int sum = c1.deposit + c2.deposit + c3.deposit;
      System.out.println( "sum == " + sum );
   }
}

class Card{
   int deposit;
}
//終了


このコードをコンパイルし実行したときの結果として正しいものを
選択肢から選んでください。
（コンパイル、実行の方法は正しく行われるものとします。）


a.  sum == 3000  と出力される。

b.  sum == 4000  と出力される。

c.  sum == 5000  と出力される。

d.  sum == 6000  と出力される。

e.  sum == 7000  と出力される。

f.  sum == 8000  と出力される。

g.  コンパイルエラーとなる。

h.  実行時エラーとなる。

参照の問題１（解答）

f.  sum == 8000  と出力される。

参照の問題１（解説）

今回は参照についての問題です。
参照についてはSJC-P対策Java用語集でも説明しているので参考にして下さいね。
SJC-P対策Java用語集：参照

突然ですが、参照とは何でしょうか？
参照とは、「メモリ上に生成されたインスタンスの場所を指し示す値」である といえます。
ＣやＣ＋＋が分かる人ならポインタに相当するものであると説明すれば分かり 易いでしょう。

注意するべき点は、参照とインスタンスは別のものであるということです。
つまり、参照はインスタンスがメモリ上のどこにあるのかを指し示すのであって、 インスタンス自身ではないのです。

このことを踏まえて今回のコードを見てみましょう。

      Card c1 = new Card();
      Card c2 = new Card();
      Card c3 = c1;

このコードで生成されるインスタンスは２つだけです。
インスタンスは

      new コンストラクタ()

という文で生成されます。

今回の問題のコードでは、 new Card() という処理により Card クラスのインスタンスがメモリ上に生成されます。
インスタンスが生成されると new Card() はそのインスタンスがどこにあるのか を指し示す「参照」を返します。
返された値を c1 及び c2 という変数に格納しているのです。

ちなみに

      Card c3 = c1;

という処理では、インスタンスの生成は行われません。
この処理では c1 に格納された「参照」を c3 にコピーしているだけです。
つまり、インスタンスがコピーされているわけではなく、インスタンスがどこに あるかを指し示す値がコピーされているのです。
そのため、c1 と c3 は同じインスタンスを指し示すことになります。

図で示すと以下のようなイメージになります。

ところで、同じインスタンスを指し示すということはどういうことでしょうか。
c1 と c3 が同じインスタンスを指し示しているということは、c1, c3 を通じ て行った操作は同じインスタンスに作用するということです。

以上のことを踏まえた上で、改めて最初から処理の流れを見てみましょう。

まずは

      Card c1 = new Card();

でインスタンスが生成されます。
そして、そのインスタンスへの参照が c1 に格納されています。

続いて、

      Card c2 = new Card();

でも新しくインスタンスが生成されています。
このインスタンスへの参照は c2 に格納されています。

しかし、

      Card c3 = c1;

ではインスタンスは生成されていません。
c1 に格納されていた参照が c3 にコピーされただけです。
その結果、 c1 と c3 は同じインスタンスを指し示すことになります。

このような状態で、インスタンスを操作するとどうなるのか、処理の流れを追ってみましょう。

      c1.deposit = 1000;

      c2.deposit = 2000;

      c3.deposit = 3000;

c1 と c3 を通じて行った操作が同じインスタンスへ作用している様子が分かったかと思います。
c1.deposit と c3.deposit は同じものなんですね。
そのため、

      int sum = c1.deposit + c2.deposit + c3.deposit;

の値は以下のようになります。

      int sum = 3000 + 2000 + 3000;

これからも分かるように、 sum は 8000 となります。
そのため、実行結果は

>javac Test.java

>java Test
sum == 8000

となり、解答は f となります。

関連ページ：SJC-P対策Java用語集・参照