基本データ型の拡大変換とは：SJC-P(310-035)対策Java用語集

Java用語集：基本データ型の拡大変換

基本データ型の拡大変換について：簡単に説明すると

基本データ型の拡大変換とは、変数・値のデータ型がより大きいサイズの 基本データ型 に変換されることです。

基本データ型の拡大変換について：もっと詳しく

拡大変換は次の３つの場合に自動的に行われます。

• 代入する時
• メソッドの引数として渡すとき
• 演算時

このような場合に、要求されているデータ型より小さいデータ型を使用すると自動的に大きいデータ型への拡大変換 が行われます。
データ型が拡大変換される方向は以下の通りです。

byte ──→ short ─┬→ int ──→ long ──→ float ──→ double
                    │
                    │
            char  ─┘

この図で左側のデータ型から右側のデータ型への変換は自動的に行われます。

逆の場合、例えば long 型から short 型には自動的に縮小変換は行われません。
縮小変換を期待してコードを記述するとコンパイルエラーとなります。
なぜなら、サイズの小さいデータ型に変換すると、いままで保持していたデータの一部が切り捨てられて、 予期せぬ値になってしまう可能性があるためです。
そうした事態を防ぐためにコンパイラがエラーを出してくれます。

しかし、プログラマがその危険を承知の上で、それでもなお変換したい場合には キャスト という仕組みを用意しています。
キャストを行うことで、基本データ型を縮小変換することができます。

それでは自動的に基本データ型の拡大変換が行われる３つの場合について、それぞれ具体的に見ていきましょう。

まずは代入する際の拡大変換です。

class Test{
   public static void main( String args[] ){
      byte b = 100;
      int i = b;
      System.out.println( "i == " + b );
   }
}

>javac Test.java

>java Test
i == 100

この例では int 型に byte 型を代入しています。
このようにより小さいデータ型から大きいデータ型に代入を行う場合、コンパイラが自動的にデータ型を拡大変換してくれるので コンパイルエラーになりません。

しかし、逆に小さいデータ型に代入しようとするとコンパイルエラーになります。

class Test{
   public static void main( String args[] ){
      int i = 100;
      byte b = i;
      System.out.println( "i == " + b );
   }
}

>javac Test.java
Test.java:4: 精度が落ちている可能性

続いて、メソッド呼び出し時に引数として渡す際の拡大変換を見てみます。

class Test{
   public static void main( String args[] ){
      byte b = 100;
      testPrint( b );
   }

   public static void testPrint( float f ){
      System.out.println( "f == " + f );
   }
}

>javac Test.java

>java Test
f == 100.0

この例では、testPrint( ) メソッドは引数として float 型を要求しています。
しかし float 型より小さい byte 型を引数として渡しても、コンパイラが自動的に float 型へ 拡大変換してくれるのでコンパイルエラーになりません。

しかし代入時と同様に、メソッドが引数として要求している型より 大きいデータ型を与えるとコンパイルエラーになります。

class Test{
   public static void main( String args[] ){
      double d = 100;
      testPrint( d );
   }

   public static void testPrint( float f ){
      System.out.println( "f == " + f );
   }
}

>javac Test.java
Test.java:4: Test の testPrint(float) は (double) に適用できません。

最後に演算時の拡大変換を見てみましょう。

class Test{
   public static void main( String args[] ){
      int i = 100;
      double d = 50.0;
      System.out.println( "( d / i ) == " + ( d / i ) );
   }
}

>javac Test.java

>java Test
( d / i ) == 2.0

d / i は異なる型同士で演算を行っています。
しかし、演算時にコンパイラが自動的に小さい型を拡大変換してくれるのでコンパイルエラーになりません。

このように、Java では基本的にサイズの大きいデータ型へは自動的に拡大変換を行うようになっています。