参照とは：SJC-P(310-035)対策Java用語集

Java用語集：参照

参照について：簡単に説明すると

参照とは、生成されたインスタンスのメモリ上の格納位置を示す値のことです。
インスタンスの操作は、必ずこの参照を介して行われます。
この参照はＣ言語のポインタに相当する概念です。

参照について：もっと詳しく

参照とインスタンスは別のものです。
インスタンスはフィールドやメソッドなどをまとめた構造体のようなものですが、 参照はそのインスタンスがどこにあるのかを指し示す値となります。

実際のコードで確認してみましょう。

class Test{
   public static void main( String argv[ ] ){
      Student st1 = new Student();
      Student st2 = st1;
      st1.id = 1;
      st2.id = 2;
      System.out.println( "st1.id == " + st1.id );
      System.out.println( "st2.id == " + st2.id );
   }
}

class Student{
   int id;
}

インスタンスは

new コンストラクタ()

が実行されることで生成されます。
この式によってインスタンスが生成されると、このインスタンスのメモリ上の場所を示す参照が返されます。

例えば、

      Student st1 = new Student();

の場合、Student クラスのインスタンスが生成された後に、そのインスタンスの参照が返されて st1 に格納されます。

これを図で示すと以下のようになります。

他のページの説明では便宜上、以下のように図示しています。

でも実際には最初に示した図の方が参照のイメージに近いですね。

さて、なぜここで参照とインスタンスは異なるという点にこだわるのかについて説明します。
次の文を見てください。

      Student st2 = st1;

この文は何をしているか分かるでしょうか。
Java を始めたばかりの人は勘違いしてしまうこともありますが、この文はインスタンスを コピーしているのではありません。
この文は参照をコピーしているのです。

この状態を図示してみましょう。

st1 と st2 が同じインスタンスを指し示しているのがわかりますね。
インスタンスは１つしか生成していないのに対して、参照は２つ存在しています。
そして、その２つの参照が同じインスタンスをさしているのです。

なぜこのようになるのかというと、 st1 に格納されていた参照を st2 にコピーしたからです。

もしインスタンスをコピーしたのなら、インスタンスが２つになっているはずです。
しかしコピーされたのは参照だけであるため、インスタンスは１つのままになります。
その結果、 st1 と st2 は同じ参照を保持し、同じインスタンスを指し示すことになるのです。

ところで st1 と st2 が同じインスタンスを指し示しているということは、 st1 と st2 を通じて行った操作は 同じインスタンスに作用するということです。

つまり、

      st1.id = 1;

　と

      st2.id = 2;

という文は同じインスタンスに作用しているのです。

さて、このことを踏まえて処理の流れを見てみましょう。

まずは

      Student st1 = new Student();

で Student クラスのインスタンスが生成され、そのインスタンスへの参照が st1 に格納されます。

次の文には注意しましょう。

      Student st2 = st1;

ここでは st1 から st2 へ参照のコピーが行われるだけで、新しいインスタンスは生成されません。

この後、異なる参照を通じて同じインスタンスを操作しています。

      st1.id = 1;

      st2.id = 2;

st1 と st2 を通じて行った操作が同じインスタンスに作用している様子が分かったかと思います。
さて、これで実行結果は分かりますよね。

st1 と st2 は同じインスタンスを指し示しているのだから、実行結果は以下のようになります。

>javac Test.java

>java Test
st1 == 2
st2 == 2

Java では参照とインスタンスの関係が非常に重要なので、しっかり理解しておきましょう。